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僕の今日の予定を7668文字で説明するとこうなる。

yokaigundan

本文


<プロローグ>



 花の金曜日。午後八時過ぎ。



 俺はアキバのスタ丼で、スマフォを弄りながら、牛丼を食っている。ここ数年、日課となった行いだ。



 同じ会社のヤツらは、飲みに行ったり、歌いに行ったり、踊りに行ったり、今という時間を謳歌している。



 ただ、そんなヤツらに馴染めなくて、一緒に居ても面白いと思えなくて、俺は一人で牛丼を食っている。



 これでも二十代の頃は、周りから誘いの声も受けた。スキーへ行こう、バーベキューへ行こう、旅行に行こう。行こう。行こう。



 けれど、これを断り続けていると、段々と誘いの数は減って行き、今年で三十五を重ねれば、もう何の声も掛からない。



 自身が参加する数少ない飲み会と言えば、儀礼的に行われる歓送迎会の類だ。それも必ず一次会で帰ってしまう。



「……なんか今日のご飯、ねちょねちょしてて嫌だな」



 スマフォの画面には2chのスレが並ぶ。



 下らないスレの下らないレスを、下らないと感じながらも、ツラツラと上から下へ眺めてゆく。なんかもう惰性で閲覧している感がハンパない。



 これもまた日課。



 こうしてこの席で、牛丼を食いながら2ch。



 何が楽しいのか。



「…………」



 別に一人が好きなわけじゃない。



 誰かと一緒に楽しく遊びたいと思う気持ちは凄いある。



 けれど、実際に誰かと顔を合わせて、いざ遊びに行こうとなると、途端に冷めてしまうんだ。その時間が無駄に感じてしまうんだ。



 どうしたら誰かと一緒に、心の底から楽しいと思えるんだろうか。



 昔は、そう思える瞬間も、あったような気がする。



 けれど今となっては、まるで思い出せない。何が楽しかったのか。



 一人でアニメ見てる時間の方が、誰かと遊ぶより、余程のこと楽しいじゃないかと。



「……なんだこれ」



 日頃に同じく、ずらり並んだスレを追っていた。



 いつもなら、段々と下らなさを増してゆくスレにつまらなくなって、腰を上げるのが日課だ。既に食事は九割方平らげている。後は味噌汁をすすって終わり。



 が、そんな日課の最後に、ふと、妙なスレが立っていた。





1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2015/07/07(日) 14:45:53.34 ID:fKOp42Zf0



 akiba studio 301

 オヌヌメのアニメ持ってる香具師キボンヌ





 香具師とか、オヌヌメとか、キボンヌとか、随分と久しぶりに見た。十年以上前に流行ったスラングじゃないか。



 自然と画面をいじくる手が止まった。



 アキバスタジオと言えば、俺が今居るスタ丼から十数メートルばかりの地点。貸しスペースを扱う店舗だ。主にオフ会やイベントなどに利用される。カラオケとそう変わらない値段設定だった筈だ。



 この数字はまさか部屋番号だろうか。



 だとしても、こんな釣り臭いスレ、誰が釣られるものだろう。



「明日休みだし、暇人が多いんだろな」



 とかなんとか、勝手に自分の中で結論を出す。



 せっかくの花金なのだから、誰かと何かを楽しみたい、そんな欲求に駆り立てられるのは、やはり、当然のことだろう。だから、その気持ちをせめて表現したくて、こんなスレを立てたんじゃなかろうかと。



「……こういうのに限って、俺より歳のいったオッサンだったりするんだよな」



 色々と突っ込みどころがあった。



 何となく気になって、スレを更新してみた。



 が、DAT落ちだ。



 そう時間も経っていないので、誰にも相手にされず落ちたのだろう。



 哀れなスレだ。



 まるで俺みたいだ。



「…………」



 普段だったら、無視するんだろう。



 仮に誰か待っていたところで、何をするというんだ。貸しスペースなんて、せいぜいソファーやテレビが置かれている程度の施設だろう。初対面の人間と盛り上がるなんて、夢のまた夢じゃないか。無駄に時間を取られて、不愉快な思いをするのはよろしくない。



 そもそも本当に誰かが待っているんだろうか。悪戯の可能性が非常に高い。今日日、まともな頭の持ち主なら、2chなんかに自分の所在を書き込んだりしない。場合によっては、店の利用履歴から、個人情報が割れかねない。



 とか、思いながらも、なんでだろうな。



 きっと、十数メートルという距離が良くないんだ。



 そもそも誰かと遊ぶという行為が苦手な俺が、貸しスペース屋の名前と場所を知っていること自体、まあ、未練たらたら、ということなんだろう。夢や憧れを、その小汚い雑居ビルに見ているんだろう。



 だから、だから。



「……ごちそうさまでした」



「ありあしたぁっー!」



 俺はスマフォをズボンのポケットにしまい、普段より少し早めに席を立った。







◇ ◆ ◇







「あの、待ち合わせなんですけど」



 雑居ビルの三階。初めて訪れる貸しスペース屋の受付。二十代後半を思わせる女性店員を相手に事情を伝えてみる。こういうところは初めてなので、勝手が分からない。



「何号室になりますか?」



「えっと……三〇一ですが……」



「はい、突き当たりを右に折れて正面のお部屋になります」



「ど、どうも」



 特に何を言われることも無く、すんなりと通して貰えた。



 それで良いのかよと疑問に思いながらも、まあ良いかと歩みを向ける。



 目的の部屋にはすぐにたどり着いた。



 三〇一号室。



「…………」



 曇りガラスのはめ込まれたドアを前に立ち止まる。



 そういえば、スレにはアニメがどうのと書いてあった。



 アニメ、アニメ、アニメ。アニメは見るけれど、ディスクの類を購入する趣味は無いので、どうしようかと思った。近所のソフマップで適当なアニメを買って来ようかと。



 自身の所持品を一通り思い起こしたところで、ノートパソコンに解答を得る。



 そういえばノートパソコンを持っていた。ニコニコ動画のアカウントを持っているので、そこから適当に自分の好みのアニメを購入して見せれば良いだろう。プレゼン用にとミニディスプレイのケーブルも入っているから、テレビへ映すにも問題ない。



「よし……」



 店員が素直に通した時点で、誰かしら予約を入れている、或いは利用中ということである。最悪のケースを想定すれば、それは全く知らないヤツらが盛り上がっているところへ足を踏み入れる羽目になるわけだ。



 駄目だ、やっぱり来るんじゃなかった。



 とは言え、この状況で引き返すのも、なんか悔しい。



 まあ、そのときは部屋を間違えたと言えば良いか。



 言い訳をあらかじめ準備したところで、俺はドアノブへと手を伸ばした。



 勢いに任せて、一気に扉を押し開く。



「あのー……」



 控えめに声を上げながら、一歩を踏み入れる。



 室内の様子が明らかとなった。



 床は絨毯敷き。中央には三人掛けのソファーが二つ、互いに向き合うよう並べられている。その間には足の短いガラス作りのソファーテーブル。大凡、十畳ほどの部屋であった。他に設備としては、壁際には大きめのテレビ。天井にはBOSEの大型スピーカーが取り付けられている。



 小綺麗な壁紙や、棚の類いに並ぶ小物は女性向けの装飾だろう。照明も天井に備え付けの無骨な蛍光灯は外されて、代わりに暖色の間接照明が部屋の四隅に配置されている。張るホテルのラウンジを思わせる光景だった。



「……え?」



 一歩を踏み入れて、まず最初に俺は驚いた。



 部屋の作りじゃない。



 そこに居た相手の姿にだ。



 ドアの先、ソファーの上、体育座りで腰掛ける少女が一人。



「…………」



 相手もこちらに気付いたのか、ジッと視線を向けてきた。都合、互いに見つめ合う形となる。ソファーの上から。部屋の敷居を一歩跨いだところから。



 場が凍ったような気がした。



 なんでだろう。



 腰下まで伸びた長い金髪。日本人には有り得ない色白な肌。釣り目がちな目元と、これに収まる青い瞳。つい今し方まで2chのアニメスレで漁っていた画像のなかに、こういう感じの美少女画像が、あったような気がする。



 そして、ソファーテーブルの上には、封の切られたアニメのボックス一式。



 ぽつねんと置かれている。ぽつねんと。



「……あの、2chのスレを見たんだけど……」



 情けないことに、そんなことしか言えなかった。



 仮に誰か待っていたとしても、小汚い四十過ぎの禿げたデブのオッサンが待っているのだとか、一方的に決めつけていた。或いはさっきの妄想じゃないが、2chのスレとは全く関係のない、リア充グループが充実しているものだとばかり。



 だからこその驚きだった。



 というか、これは部屋を間違えたのではないか。



 だとすれば、これは割とヤバい状況ではないのか。



 昨今、こういう子供を巡る諸々の事情は非常に厳しい。部屋を間違えたと言っても、それで済まないケースだって、世間では多々発生している。2chという単語を出して、即座、しまったと思った。



 思った。



 んだが、これに対して、相手から返された言葉が、更に俺を驚かせた。



「ドア、締めて」



「え?」



「だから、ドア、締めて」



「あ、あぁ……そ、そうね。ドア、閉めるね」



 金髪少女に言われるがまま、部屋へ入ってドアを閉める。



 パタン、軽い音が嫌に大きく部屋へ響いた。



 ドアが閉まると、廊下からの喧噪も遠くなる。防音処理が為されているのだろう。それだけで、とても静かになった。僅かに届くのは隣室からのズンズンという低音。音楽でも流しているのだろう。



「……えっと」



 さて、どうしたものか。



 招き入れられたということは、彼女がスレの>>1なんだろうか。



 だとしてもどうして、こんなに小さな子が。



 疑問ばかりが矢継ぎ早に浮かんで、何から確認すれば良いのか。



 とかなんとか、悩んでいると、逆に相手から質問された。



「好きなアニメ、持ってきた?」



「え?」



「だから、アニメ。好きなアニメ」



「あ、あぁ、アニメ、アニメね。確かそう書いてあったものね」



「うん」



 幸か不幸か、僅か数言のやりとりで、相手が>>1だと確定だ?



 いや、まだ分からないか。



 まあいい、今はアニメだ。アニメ出さないと。



「ちょ、ちょっと待ってて。すぐに出すから」



 肩掛けの鞄から、慌て調子にノートパソコンを取り出す。



 会社から支給された備品である。



 だがまあ、状況が状況だ。ニコニコ動画でアニメ見るくらいは良いだろう。そう自分に言い聞かせて、画面を開きつつテーブルの上へ配置する。



 少女はそんな俺の行いを、ジッと見つめている。



 姿勢は体育座りのまま変わりない。



 見慣れない金髪にばかり意識が行っていた為、あまり気にしていなかった。こうして近くに眺めて、ふと気付いた。黒いワンピース。丈が短い。



 ソファーの正面に置かれたテーブルの上で作業をしていると、体育座りな太ももの間、布生地を超えて下着が見える。バッチリと見えてしまう。



「っ……」



 いやいや、これは良くない。



 努めて視線をそちらへ向けないよう意識して、作業を進めた。



 画面を開いて、ブラウザを立ち上げて、ニコニコ動画のサイトを開いて、ログインして、咄嗟、思い浮かんだ自分の大好きなアニメの名前をニコニコチャンネルで検索する。確か有料のチャンネルで公開されていた筈だ。



「……まだ?」



「ごめん。もう少し、もう少しだから」



「…………」



 なんで俺はこんな必死にニコニコ動画でアニメを見ようとしているんだ。



 御前会議のプレゼンでも、こんな必死にパソコンを弄ったことはないぞ。



 事前にネタを用意しておいて良かった。



 もしもこれで、アニメがなかったら、それが原因で面倒事が起こったら、などなど、考え出すと堪らない気持ちになる。まだ小汚い四十過ぎの禿げたデブのオッサンの相手をしていた方が、気が楽だっただろう。



 それから二、三分ばかり。ようやっと目当ての画面に辿り着く。



「これで良し……」



 嫌な汗を流しながら、パソコンの画面を金髪少女へと向けて寄越す。



「なにこれ?」



「機動戦艦ナデシコ。俺の大好きなアニメ」



「……絵が古い」



「む、昔のアニメだから、仕方ないんだよ」



 今まさにアニメの世代として在るべき少女に言われて、ズキン、胸が痛んだ。確かに今のアニメと比べると古い。古すぎる。自分でもそう思う。



 ルリルリってばホッペの骨がマジで奇形だし。目も無駄にでかいし。



 でも好きだったんだよ。面白いって思ったんだよ。



 これも思いで補正ってヤツなんだろうか。



 今見たら、実はあんまり面白いと思えないんじゃなかろうか。



 そう考えると、凄く悲しい気分になった。



 誰かと一緒に何かをする楽しみを失うに同じく、アニメを楽しむ方法さえ、俺は加齢と共に失ってしまったんだろうか。思えば最後に見たのはいつだったか。最近はルリルリにしても、陵辱系のエロ画像でしか見てないし。



 おいおい、なんかもう色々と失くしてばかりじゃん。



「…………」



 ジッとパソコンの画面を眺める金髪少女。



 その傍らに立って、俺もまた一緒に映像を見つめる。



 何度聞いたか分からない、古くさいアニメのオープニングが、今、流れていた。



「…………」



「…………」



 ユーゲットバーニング。



 俺、ぜんぜん、バーニングできてねぇよ。



 昔はもっとバーニングできてた筈なのに。



 いや、それももしかしたら、気のせいなのかも。



 確かなものが何もない感覚。凄い自分が不確かな存在になったよう。



「…………」



「…………」



 くっそ。



 なんか、まなじりに目元が滲んできた。



 なんでだよ。



 昔はもっと色々と熱血できた筈なのに。



「……泣いてる?」



「っ……」



 すぐ隣、少女が居ることを、僅か一瞬でも忘れていた。



 指摘されて、その存在を思い起こした。



「いや、な、なんのことだろう?」



 なんで俺が泣かなきゃならないんだ。



 何気なさを装い、シャツの袖口で目元を拭う。



 そうこうするうちに、オープニングが終わって、本編へと続くアニメ。有料ストリーミングなので、CMの類は挟まらない。即座に場面は移り変わって、第一話、火星で主人公のテンカワ・アキトが非難したシェルターへ、敵である木星連合の無人兵器が進入してくるシーンだ。



 これと時を同じくして、俺と少女がいる部屋へも、来客があった。



「あのー……」



 予期せぬ声を受けて、思わず肩が震えた。



 咄嗟、部屋の出入り口へ顔を向けると、そこには見知らぬ女性の姿があった。



 年頃は二十代後半といったところか。ピシっとしたスカートスーツ姿のOLである。肩口に切り揃えられたオカッパ髪に細めがね。知的美人を絵に描いたよう。まるで良くできた秘書を思わせる出で立ちだ。



 こちらは少女と違い、俺と同じ日本人に思われる。



「なっ、ちょ、ちょっと、何をやっているのっ!?」



 女性は俺と少女とを見て声を荒げた。



「え? な、何がって……」



「こんなところに子供を連れ込んでっ、警察を呼ぶわっ!」



「ちょ、ちょっと待ってっ! なんでそうなるんだよっ!?」



 そりゃまあ、お世辞にもカッコ良いとは言えない外見をしている。きっと、今に隣に並ぶ少女のような、幼い子供とのツーショットを眺めたら、誰だってそっちの方向へ話を持って行きたくなるだろうさ。



 けれど、通報されたらアウトだ。俺の人生がアウトだ。



「そこを動くんじゃないわよっ!? えっと、け、ケータイっ、ケータイっ!」



「だから違うって言ってるだろっ!? アンタも2ch見てここへ来たんじゃないのかよっ!? それともアンタがスレを立てたのかっ!?」



「え? まさか、あなたも……」



 2chという単語を耳として、相手の声が幾らばかりか落ち着いた。



 少なからず状況を計った様子だ。



「そういうアンタはどうなんだよ」



「……別に」



 別にって何だよ、別にって。



 っていうか、こんな美人が花の金曜日に2chかよ。



 狂ってるな、この国は。



「……ドア、締めて」



 俺と美人OLとか言い争っていると、脇から少女が口を挟む。



「え?」



「だから、ドア、締めて」



「あ、え、えぇ。ドアを閉めれば良いのね。ドア」



 このOLもまた、俺と同じように驚いた様子で、ドアを閉める羽目となった。



 パタン、先程と同じように閉じられる。



 言い合う声が失われて、少しばかり静かになった部屋。唯一の音源は、俺の持ち込んだパソコンから流れるアニメの音。質の良くないノートパソコンからのひび割れた音。



 けれど、これを耳として、少女は真面目な顔で画面を見つめていた。どうやら真剣に見ると決めた様子だ。絵柄が古臭いと文句を言っていたくせに。



「……ねぇ。貴方が、アレを立てたの?」



 気付けばいつの間にか、俺の隣まで移動しているOLさん。



「アレってなんだよ?」



「に、にちゃんねるのスレよ」



「いや、俺じゃない。俺はスレを見て集まったくちだから」



「……じゃあ誰なのよ? あんな時代錯誤なスレ立てたのは」



「アンタも相当なもんだな」



「べ、別にいいじゃないっ! そういう歳なのよっ! 私もっ」



 肌のしわが気になるお年頃というヤツだろう。



 この女、きっと独身だ。



 なんて童貞の俺が勝手に判断してみるテスト。



「っていうか、この子、貴方の知り合い?」



「いいや」



「じゃあ誰よ?」



「俺が来たときにはもう居たんだよ。そこのアニメのボックスと一緒に」



 顎でパソコンのすぐ傍ら、ソファーテーブルの上に置かれた、アニメのボックスを指し示す。詳しく走らないが、昨年くらいに放送された深夜アニメだ。確か原作の無いオリジナル作品だったはずだ。



「まさかこの子が?」



 途端、ヒソヒソと声も小さく訪ねてくるOLだ。



「んな馬鹿な。まだ子供だろ?」



「それじゃあ誰が立てたのよ?」



「んなこと、俺が知るかよ……」



 ヒソヒソヒソ。



 アニメを鑑賞する少女の傍らに言葉を交わす。



「っていうか、どうしてナデシコなの?」



「悪いかよ? 俺の好きなアニメだよ」



「ふぅん……」



「な、なんだよ?」



「別になんでもないわ。他人の趣味に興味なんてないもの」



「だったら聞くなよ」



 しかし、この女も初対面の相手に随分な口を利いてくれるよな。



 自分の今の振る舞いも含めて、なんか逆に新鮮だわ。



「どうせなら、あのテレビに映したら良いじゃない」



 OLが部屋の備品を人差し指に指し示して言った。



 そこに鎮座するのは五十型の大型テレビだ。スピーカも良いモノが設置されているし、かなりの迫力接続 名言 アニメで楽しめるだろう。モノがSFアニメということもあって、狭いモバイルノートでみるより断然の筈だ。



「それもそうだな」



「気の利かない男ね」



「うっせぇよ」



 口の悪い女だ。



 女は歳をとるとこれだから良くない。



「あー、ちょっと止めていいか? どうせならアレで見よう」



「テレビで見るの?」



「ケーブルは持ってるから、たぶん繋げられると思う」



「……分かった。承認するっ」



「承認? あぁ、承認、承認な」



 妙な言葉を知ってるな。この外人の娘は。



 承認もいただけたので、パソコンをテレビへと繋ぐ。テレビの側にHDMIの差し口があったので、手持ちのケーブルを繋げるだけで事済んだ。この辺りは店の側も考慮しているのだろう。



 ノートパソコンは床へ。



 一時停止状態にあった映像を再開する。



 同時、かなり豪華な音で再生される、五十型の画面に流れるアニメ。



「おぉ、流石BOSE」



「低音が良いわね」



 いつの間にかソファーへ腰掛けているOL。



 少女のすぐ隣だ。



 俺は彼女たちとはソファーテーブルを挟んで反対側のソファーへ。



 そうして何の因果か、見知らぬ女二人と共に、アニメの鑑賞会。



 数年ぶりに見た機動戦艦ナデシコは、俺が思っていたほど、面白くはなかった。





<第一話>



 明日はどっちだ?

あとがき

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