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Lチキ返品できますか? 第2話(短編)

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ー第2話ー



店内は空調がきいているだけあってなかなか快適な温度に調節されていた。まあ快適な温度であろうがなかろうが、今の疲れはどうにもならないのだが。入店直後、もはや反射的に見てしまうコーナーがある。アイスコーナーだ。アイスは夏だけのものだと思いがちかもしれないが、個人的には年中食べるもの。1番のお気に入りはスーパーカップ、2番はパルムといったところだろうか。普段コンビニに行く時の目的として、アイスは含まれないことが多いのだがついつい目に止まってしまうため、買っていくことがほとんど。そしてその後に待っているには腹痛なのだが・・・。

アイスの入っているショーケースを眺めながら所持金を確認する。今入っているお金は2200円。今回コンビニに来た目的である「DMMカード」は2000円(税込)なので、アイス1つ買うのが限界だった。



「先輩は何か買うつもりですか?」



同じく隣でアイスを眺めていた先輩に声をかけた。言い忘れていたが、この先輩の名前は堤一馬。陸上部の部長を任されており、跳躍で走高跳びをやっている人。その実力は折り紙付きで、東海大会までなら楽勝で行ってしまう案外すごい人なのだ、暇人だけど。



「腹減ったし、チキンでも買っていこうかな。」



チキンか。俺はその言葉を聞いてしばし考えを巡らせることにした。夕方部活終わりの帰り道、考えてみれば腹はかなり減っている。我慢すればいいことなのだが、アイスを買うよりは何か腹の溜まるものを買ったほうが効率が良いのではないだろうか?200円しか猶予がないので、2使うわけにもいかなかった。

レジの隣に陳列しているチキンやコロッケに目を走らせた。その瞬間、俺の決心はついた。



「じゃあ俺もそうしますかね。」



腹の減りに勝つことはできなかった。目に入ってきたチキンやコロッケはいつも以上に体が必要としているような気がした。くそぅ、金があればアイスも買えたというのに!心の中でそう叫ぶと、アイスのショーケースからは身を引くことにした。

つくづくコンビニはいやらしい作りをしているものだな、と思う。一番買う機会の多い食料品(お菓子を除く)は必ず奥にあるし、飲料水もそうだ。そしてこのレジ前に配置され、必ずと言って良いほど目に入ってくるチキンやカツと言った揚げ物類。揚げ物の匂いというのはお腹が減っている学生にとってはダメージが大きすぎる(買ってしまうという意味で)。まったく、どんだけ買わせたいんだ!ひとまずDMMカードを確保した俺がレジ前に来て思ったことがそれだった。

レジでお会計を済ませようとした時、後ろから先輩が近づいて来た。何やら大量に抱えて。



「あ、先輩は何買ったんです?」



何で籠を持ってこなかったんだ、と言わんばかりの量の商品を抱えていた先輩に声をかけずにはいられなかった。



「とりあえずお菓子とアイスと飲み物と・・・」



何をしているんだこの人は。先刻腹が減ったからチキンでも、と言っていたくせに、お金がない俺の目の前で大量買いとは、鬼畜な先輩だ。そして籠を持っていてほしかった、恥ずかしいから。



「先にお会計どうぞ」



まあここは常識的かつ効率的手段として、お会計を先輩に譲るのは当然だろう。時計を見るとそれなりの時間が経っていたし、早く帰るに越したことはなかった。そんなことを考えながら先輩がお会計をしている後ろにつき、自分の番を待つことにした。



ーーーのだが。



「こちらのレジへどうぞー」



不意に隣のレジから声が聞こえ、俺は素直にそっちへ移動した。・・・これが壮絶な戦いの予兆などと、誰が思うだろうか。これが長きに渡る、俺と店員との心理戦に突入しようとは、この時まだ誰も知るよしもないのだった。

あとがき

遅れて申し訳ないです。
ほんともう、頑張ります。
はい。

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