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零ト裏返シノ炎天

アンミョウジヒカル

本文

深夜零時。

この時間の現実はどこか非現実を奏でている。

歩く人は見えず、走った車もない。

店の明かりも消えたまま。

炎天の裏返しは暗い暗いを奏でていた。

ただ淡々に、闇の中。

この街は……

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『闇の中』

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『………………』

靴を履いて、ただ暗い暗いの街を歩き出して。ただ、淡々に。街灯。その明かりだけが道を照らしていた。三十秒に収まった数メートルに光はだんだん薄れていった。炎天の裏返しに足を運んだ、淡々と運んだ。拍手喝采の炎天の、そんな街の裏返し。誰一人と観客なんていないまま、誰一人といないまま。

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『………………』

星の光った空の底。きっと僕一人の街。無駄に光った信号機は意味のない赤を光らせている。そんな警告でさえも深夜零時は裏返す。青も赤も全部全部……闇に光って、ただ飲み込まれた。

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『………………』

どこに向かうかも決まらないままで、ただ淡々に足を進めた。イヤホンから流れた世界に入り込んで。炎天の裏側で、きっと僕はまだ家路を急ぐ事はない。ただ、歩く。

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『………………』

ただ、暗闇の中。暗い暗いの中で、いつもと今日の深夜零時。何かが違って、何かが違って。ただ、歩いた道を見つめる。ただ視界に入るコンクリート。自分の足は……無い。それに、自分の身体も無い。何かを掴もうとした腕もなければ、何かを見るための目があるはずの顔さえも無い。ただ……透けた自分の身体を見つめた。

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『………………』

光の透けた僕の身体。ただ、歩く。横断歩道に差し掛かり、あの日の僕の身体を目に浮かべる。光った過去は、体の無い僕をすり抜ける。ただ、車を目で追いかけている。

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『………………』

数分間の中。ただ暗い暗いの街を行く。公園のベンチに座ってただ、暗い暗いの街を見つめていた。上を見上げれば、どこか久々の星空。アートを夜空にばら撒いて、きっと綺麗を描いたはずなんだろう。そんな綺麗もどこか目の奥の哀物語で濁ってしまうんだろう。僕は泡沫の思い出で全ての景色を汚したようだ。淡々と、思い出された拍手喝采と満場一致の悲劇をそんな景色に重ね合わせ、今日もただ、今日もただ。

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『………………』

涙の中の思い出と同じ暗い暗いの炎天の裏側で家路を急いだ。ただ……

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『僕は……』

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『………………』

目覚めた炎天下。布団の中。ただ、涙を流していた僕は、涙を拭って起き上がった。午後零時。時計の中の時間が嘘のようだ。どこか無駄に没入感を描いたようなその夢は僕を騙していたようだ。

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『………………』

靴を履いて、暑い暑いの炎天下。ただ、歩くんだ。走る車と歩く人。そんな街の片隅で僕は……

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『ドンッ!………………』

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死んじゃうんだ。

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『………………』

起き上がったベッドの上。

深夜零時。

この時間の現実はどこか非現実を奏でている。

歩く人は見えず、走った車もない。

店の明かりも消えたまま。

炎天の裏返しは暗い暗いを奏でていた。

ただ淡々に、闇の中。

この街は……

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『闇の中』

あとがき

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