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ぼっちなソラ君と、忠犬カノジョ

moka haruta

本文


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穏やかで、



スーパーエリートな私の彼氏は、まさに完璧。



ものすごーくマイペースで、何を考えているのか分からないところを除けば……。



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「クルミのいいところは、従順なところだよね」





完璧な、ハズ。





「従順……?」





わ、私って、彼の犬だったのか。





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でもいいんだ!



私はもともと恋人に貢ぐ……いや違う、傅く……違う違う、尽くす……そう、尽くすことは嫌いじゃないから!



大好きなソラ君のためだったら、



料理だって、



家事だって、



ソラ君の好きなドラマの録画だって、



お安い御用です。



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「双葉さんは本当に、それでいいんですか……?」



「え……?」





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だって彼は忙しいし、



家事も料理も、全部私が勝手にしたことだから。



私がソラ君を好きだから、してしまったことだから。



そこに見返りを求めるのは、おかしな話だよね?



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「ソラ君、おかえりなさい! ご飯は……」



「ごめん、ちょっと先にとりあえず寝かせて……」



そりゃ、私だってたまに、



「え、ソラ君待ってここで寝ないで!」



「んー、分かった分かった……」



見返りを求めたくなるときは、あるけれど。



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「働いているのは、海空さんだけじゃないのに……」



「……て」



「どんな恋人達も、どんなに親しい仲でも、そこに思いやりが無かったら、どっちかが寂しい思いをするだけですよ……!」



「めて……」



「俺はそんなの」



「やめて……っ」





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私の恋愛は間違っている?



そんなに見てて哀れかな。



わからないや。



でも、それでも好きなんだ。





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でも、

確かにそうだな。



少し、疲れてしまったな。



25歳にもなって、こんなにも不安定な恋愛をしていることに。



私どうして、あの人をこんなに我武者羅に好きになったんだっけ。





―――ソラ君、



あなたが寝ている間に、ひっそりとあなたが見たがっていたドラマを、ひとりで観ていたことは知っていますか?



あなたがオシャレだからと言って、気まぐれで買ってきた植物、名前が分からないので、手入れの仕方を調べるのに苦戦したことは知っていますか?



あなたが半分残す手料理に、どれだけ頭の中で栄養計算をしたか知っていますか?





あなたが、ふとドラマの内容を聞いてきたときにちゃんと答えられるように、



あなたが、枯れた植物を見て悲しまないように、



あなたが、毎日健康でいられますように、





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そう願って、



願っているのです。



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「ねぇ、クルミ、さよならってどういう意味?」



「え……」



「説明しろよ」







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ズルイよ。



どうしてこの人は、私が弱い言葉を知っているんだろう。



疲れるよ。安心できることなんてないよ。辛いことだって沢山あった。涙だって沢山流した。



それでも、あなたは私を惹きつけるんだ。





「ごめんな、クルミ……」



……どうせ、何に対してこんなに怒ってるのか、分かってやしないくせに。



それなのに、どうして許してしまえるのだろう。





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「俺がどんなにクルミを好きか、今から証明してあげるーー…」[page]







あなたは、本当にズルイ人だ。









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ぼっちなソラ君と、忠犬カノジョ

あとがき

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